「あー、オシリに発赤できてるねえ。」
「”ワセリン”塗っておこうか」
老人施設やデイサービスのスタッフって、なにか利用者(患者)さんの皮膚トラブルがあったら、すぐワセリンを塗るよね~。
ワセリン、ワセリンって…。
「ワセリンは万能薬なのかい」って盛大なツッコミを入れたい。
目次
そもそもワセリンって何?
ワセリンってなんとなーくわかっているつもりで、その正体を知らない看護師さん、多いんですよねえ。
ワセリンは簡単に言うと「アブラ」。原料の石油を精製して、不純物を取り除いてた軟膏なんですよ。
お肌が弱いあかちゃんにも使えますし、副作用がほとんどないのが魅力的ですねえ~。
- 皮膚の表面に膜を作ることで水分の蒸発を防ぐ
- 衣類と皮膚の摩擦を防ぐ
- 撥水性を利用して皮膚トラブルを防ぐ
- 他の軟膏と混ぜて伸びをよくする
看護師がワセリンを使う目的はこんな感じ。
たかが軟膏状のアブラに思えますが、使うことのメリットが多いですね~。
ちなみに、プロペト軟膏は白色ワセリンをさらに精製して不純物を取り除いたものです。まあほぼワセリンと変わらないかと。
ワセリン=軟膏状のアブラ、という知識だけあれば充分ですね!
なぜ施設の看護師はワセリンをすぐ塗るのか
「んで、なんで施設や訪問看護のナースはワセリンをすぐに塗りたがるの?」とさっきから気になっている方もいるかと思います。
施設や訪問看護は病院と違って、すぐにおクスリが貰える環境にないんですよ。
オシリがただれているときに「じゃ、亜鉛化軟膏を出してもらいますね~」と、ドクターや薬剤師さんにサクッと頼むことが施設内でできません。
いままで何も皮膚トラブルが無かった利用者(患者)さんは、塗り薬なんて持っていませんよね。
ということで、
しかたなくドラッグストアで買うことができるワセリンを塗っておこうか、となるわけです。
「ほんとうは皮膚の炎症を抑えることができる、ステロイドの軟膏が欲しいけど…」と思いながらも、いまあるワセリンを塗るしかないのが現状。
看護師がワセリンをよく使う場面
ワセリン自体に皮膚のキズを治す作用はありません。
皮膚トラブルを悪化させないための予防として、ワセリンを使っていることが多いですね~。
ちなみにわたしは仕事の休憩中、ほかのスタッフがはめていた指輪を自分がはめたら抜けなくなったんですよ!
ワセリンを塗りたくって摩擦を無くすことで、、指輪をハズすことに成功しました。(笑)
皮膚に赤みがみられるとき
俗にいう発赤(ほっせき)とよばれるもの。
施設を利用する利用者さんは寝たきりの方が多いんです。寝てきりでいると、褥瘡(床ずれ)ができてしまいますよね。
その褥瘡になる兆候として、発赤がでてくるんですよ。褥瘡を悪化させる原因として「摩擦」があげられます。
ワセリンの何とも言えないヌルヌル感。
皮膚とオムツや衣類があたるときの摩擦を少なくする、という目的でよく看護師がワセリンを塗ります。
皮膚が乾燥しているとき
皮膚が乾燥しているとき。ワセリンを塗ることで、これ以上皮膚から水分が抜けていくこのを防ぐんですよ。
目玉焼きをするとき、フライパンの上にフタをして、水分を逃がさないようにする感覚に似てます。
ワセリン自体に保湿効果はありませんが、水分を閉じ込めることで保湿することが可能。
利用者側の気持ちとして、塗り過ぎるとベトベトするので薄ーく塗るのがポイント。
便や尿が付く皮膚の部分を保護するとき
わたしたちの皮膚が弱酸性なのに対して、便や尿ってアルカリ性ですよね。
ってことは便や尿に皮膚が触れ続けていると、皮膚トラブルの原因になるんです。
オシリや陰部のまわりに撥水性のあるワセリンを塗ることで、便や尿をはじいて保護しようという作戦。
利用者の下痢が続いているときは、ワセリンをオシリ全体に塗る、みたいな使い方ですね。
ベトつき・毛穴が詰まるデメリットも
ワセリンはアブラ。
アブラを皮膚に塗りこむと、ベタベタします。
んでもって毛穴が詰まるので、よけいに皮膚トラブルが悪化することがあるので注意。
にしてもワセリンは副作用が少ないので安心できますね~。
看護師のおすすめワセリン
実際にわたしが仕事でよく目にするワセリンがこちら。
容量が500gをたっぷり入っていますし、コスパ最強ですね。
施設の看護師がワセリンを使うのは、クスリをすぐに出すことができないからでした。
しかし、ワセリンって保湿や皮膚の保護ができるし、副作用もすくない。
何気に便利なんですよねえ~。